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Lobophylliidae オオトゲサンゴ科
Lobophyllia ハナガタサンゴ属

Lobophyllia dentata Veron, 2000
(Figs. 1-3)

Lobophyllia dentatus Veron, 2000 (wrong spelling: ICZN, 2011: 164): vol. 3, 46, figs. 1–4, 1 skeleton fig.; 2002: 134, figs. 248, 249 [Milne Bay, Papua New Guinea].

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図1-3. YZ37. 宮古島島尻東, 水深 10 m. 2015-07-01. 座安佑奈.

形態:群体は固着性で扁平〜ドーム型の花束状 (ファセロイド型) で直径は 2 m ほどに達する場合もある。サンゴ個体はこの属としては小型で莢径は 10~20 mm、基本的にほとんどのサンゴ個体が独立した莢壁を持つ単心性。サンゴ個体の形はいびつで細長い楕円形〜角ばった多角形。軸柱が2〜3個連なったサンゴ個体も見られ、それらはサンゴ個体の形がL字型のように見える。それ以上の個数のサンゴ個体が蛇行しながら連なった部分はフラベロメアンドロイド型になる。サンゴ個体の多くは群体の基部でのみ他個体と結合しているため、それぞれのサンゴ個体は長い。軸柱は発達が弱く、軸柱を網状に構成する薄板のまとまりが悪い。低次隔壁上縁には大きく鋭く尖った鋸歯が並び、莢壁に近いほど長さと太さを増し、上方向に反り上がる。高次隔壁は薄く短く、軸柱まで達しない。高次隔壁上縁は細かい鋸歯がわずかに見られる程度で滑らか。隔壁および鋸歯は細かな顆粒で覆われ、特に鋸歯先端の棍棒状の部分は顆粒が多い。隔壁の鋸歯は莢壁上では真上に突出するものが多いが、肋上では外側へ長く反り出すものも見られる。莢壁上縁以外では肋はまばら。エピテカは全体的に発達が弱く、特に個体同士が隣接する面では発達が乏しい。ポリプが莢壁に覆いかぶさっていた部分 (edge zone) の幅は 10 mm 以下程度。

識別点:Lobophyllia のうち莢直径が比較的小さい種は他に L. corymbosa マルハナガタサンゴ、L. diminuta (和名なし) がある。本種 (L. dentata) は両種と比べて、軸柱の発達が弱く軸柱を網状に構成する薄板のまとまりが悪い、個体の形が比較的角ばっている、高次隔壁は軸柱まで達せず鋸歯も少ない、個体が結合している部分が群体基部で個体の長さが長い、エピテカの発達が弱い、などの点で識別できる。加えてマルハナガタサンゴとは、莢直径が小さめで、ポリプが莢壁に覆いかぶさっていた部分 (edge zone) の幅が狭い点が異なる。

分布と生態:リーフ上部または礁池内に出現する稀種。昼間は触手を伸ばさない。Veron (2000, 2002) には全体的に均一な灰色との記述があるが、web版の Corals of the worldでは茶色や深緑色の群体も見られる。パプアニューギニア・ミルン湾 (Veron 2002)、インドネシア (Veron 2002, Donnelly et al. 2003)、フィリピン諸島 (Veron 2002)、ソロモン諸島 (Green et al. 2006)、東ティモール (Erdmann & Mohan 2013)から記録がある。

日本国内では宮古島で1群体が確認されたのみである。なお、本種の和名は、別途、短報により提唱することを予定している。

参考:担名タイプの写真

Lobophyllia dentata Veron, 2000 ── Lectotype, G55826. Milne Bay, Papua New Guinea.
出典:CotW.

引用文献:

Donnelly R, Neville D, Mous PJ, eds (2003) Report on a rapid ecological assessment of the Raja Ampat Islands, Papua, Eastern Indonesia, held October 30 – November 22, 2002 (final draft). The Nature Conservancy, Sanur, Bali. [Indopacificimages]

Erdmann MV, Mohan C, eds (2013) A rapid marine biological assessment of Timor-Leste: RAP Bulletin of biological assessment 66. Conservation International, Arlington, VA.

Green A, Lokani P, Atu W, Ramohia P, Thomas P, Almany J, eds (2006) Solomon Islands marine assessment: Technical report of survey conducted May 13 to June 17, 2004. TNC Pacific Island Countries Report No. 1/06. The Nature Conservancy, Indo-Pacific Resource Centre, South Brisbane, QLD. [Conservation Gateway]

Veron JEN (2000) Corals of the world, vol. 3. Australian Institute of Marine Science, Townsville.

Veron JEN (2002) New species described in corals of the world. Australian Institute of Marine Science, Townsville. [AIMS]

執筆者:座安佑奈

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更新履歴:

2023-11-12 公開