Milleporidae アナサンゴモドキ科
Millepora アナサンゴモドキ属
Millepora intricata Milne Edwards, 1857
(Figs. 1-11)
ホソエダアナサンゴモドキ 江口, 1968 (?)
(図1-11)
図1-6. MIY-KK2016-035. 宮古諸島八重干瀬, 水深 3 m. 2016-03-20. やや偏平な枝をもつ群体.
図7-11. CMNH-ZG 09080. 奄美大島崎原, 水深 15 m. 2018-02-02. 断面が円形を呈する枝をもつ大きな群集.
撮影:図1-6. 梶原健次; 図7-10. 立川浩之.
解説:幾度も枝分かれする樹木状群体を形成し、大きな群体では半球状を呈する。枝は側偏または断面が円形で、細く長く伸びることが多い。樹木状群体をつくるアナサンゴモドキ属は、本種の他に
Millepora dichotoma アナサンゴモドキ、M. tenera ヤツデアナサンゴモドキの2種が国内に分布するが、本種は枝がほとんど癒合せずに分枝を繰り返す点で他の2種と区別することができる。本種は個虫孔が同属の他種に比べて小さい。生時の色彩は黄褐色。国内ではサンゴ礁域に分布し、礁池や礁縁、礁斜面など様々な環境で見られる。
M. murrayi Quelch, 1884 ヒメダサンゴモドキは、本種のシノニムと考えられている (Razak & Hoeksema 2003)。
なお、アナサンゴモドキ属の分類は、伝統的に個虫孔の特徴と群体形外部形態に基づいているが、ITSクレード解析の結果との不整合が指摘されていることから
(Takama et al. 2017)、上述の解説は暫定的なものである。
和名の由来:新称和名の明示がないことから断定はできないが、和名は江口 (1968) の「ほそえだミレポラ」に由来し、細い樹木状の群体形にちなんだものと思われる。なお、本稿執筆者の知る限りで「ホソエダアナサンゴモドキ」が用いられたのは内田・福田
(1989) が最初となるが、これは江口 (1968) の和名からの派生である。
引用文献:
江口元起 (1968) 相模湾産ヒドロ珊瑚類および石珊瑚類. 生物学御研究所編. 丸善, 東京.
Razak TB, Hoeksema BW (2003) The hydrocoral genus Millepora (Hydrozoa: Capitata: Milleporidae) in Indonesia. Zoologische Verhandelingen Leiden 345: 313-336. [Naturalis Institutional Repository]
Takama O, Fernandez-Silva I, López C, Reimer JD (2018) Molecular phylogeny demonstrates the need for taxonomic reconsideration of species diversity of the hydrocoral genus Millepora (Cnidaria: Hydrozoa) in the Pacific. Zoological Science 3: 123-133. [BioOne]
内田紘臣・福田照雄 (1989) 沖縄海中生物図鑑 第9巻 サンゴ. 新星図書出版, 浦添.
執筆者:梶原健次
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更新履歴:
2023-11-12 公開