Astrocoeniidae ムカシサンゴ科
Palauastrea パラオサンゴ属
Palauastrea ramosa Yabe & Sugiyama, 1941
(Figs. 1-14)
Palauastrea ramosa Yabe & Sugiyama, 1941: 71, pl. 61, figs. 3, 3a [Palau Islands]; Sugiyama 1947: 1567, fig. 4403; Veron & Pichon 1976: 71, figs. 151-157; Shirai 1977: 485, 2 figs.; Shirai & Sano 1985: 184, fig. 1; Veron 1986: 86, figs. 1-3, 1 skeleton fig.; Nishihira 1988: 24, 3 figs.; Uchida & Fukuda 1989: 34, 1 fig., 212, 3 figs.; Nishihira & Veron 1995: 44, 3 figs; Veron 2000: vol. 2, figs. 1-6, 1 skeleton sketch.
Palauastrea ramosa iwayamaensis Yabe & Sugiyama, 1941: 72, pl. 60, figs. 4-4b [Palau Islands]; Shirai
1977: 485, 3 figs.
パラオサンゴ 西平, 1988
(図1-14)
パラオアストレア・ラモーサ 杉山, 1947: 1567, 図4403.
パラオエダサンゴ 白井, 1977: 485, 2図; 白井・佐野 1985: 184, 図1.
パラオイワヤマエダサンゴ 白井, 1977: 485, 3図 (Palauastrea ramosa iwayamaensis として).
パラオサンゴ 西平, 1988: 24, 3図; 内田・福田 1989: 34, 1図, 212, 3図; 西平・Veron 1995: 44,
3図.
図1-4. MIY-KK2015-003. 宮古諸島八重干瀬ビーヤ北, 礫底礁斜面, 水深 9 m, 2015-03-15. 梶原健次.
図5-9. MIY-KK2014-118. 西表島網取湾, 水深 22 m. 2014-07-01. 梶原健次.
図10-12. CMNH-ZG 06743. 西表島網取湾,水深 8 m. 2014-07-01. 立川浩之.
解説:枝基部の直径が 10 mm 程度の細長い樹木状群体を形成し、時に高さが 30 cm を超え、特に大きくなると群体が半球形になることがある。枝は基部でやや太くなるものの、直径はほぼ一定で、先端は丸くなる。4次分枝まで見られることもあるが、多くは2次分枝程度にとどまる。分枝角度が変化に富み
(30~120° 程度)、分枝が不規則にみえることがある。
個体の直径 0.7~1.2 mm 前後で丸く共骨に埋没する。軸柱は先端が丸い針状で直径 0.1~0.2 mm ほど。1次隔壁は 1/3~1R、2次隔壁は認められないか 1/2R までで変異の幅が大きく、また個体が大きいほど直径に比べて隔壁が短くなる傾向がある。1次隔壁は莢縁辺部でわずかに突出し、生時でも触手が縮まったときには肉眼でもその突出を認められることが多い。共骨表面は直径 0.1 mm 程度の棘に覆われるが、1次隔壁上にも同様の棘が発達することがある。これらの棘は先端が丸いため、表面が顆粒で覆われているようにも見える。
原記載によると、Palauastrea ramosa は2次隔壁を欠き、亜種の P. ramosa iwayamaensis は2次隔壁を有するとなっている。しかし、Veron & Pichon (1976) は2次隔壁を有する方が一般的であり、2次隔壁が認められないものから十分に発達するものまで変異が連続的であることから、両者はシノニムであると結論づけている。
和名の由来:現在、本種の和名として定着しているパラオサンゴの和名は、西平 (1988) による。
白井 (1977) は P. ramosa に対して パラオエダサンゴ、亜種 P. ramosa iwayamaensis に対してパラオイワヤマエダサンゴの和名を与えている。亜種は Veron & Pichon (1976) によりジュニアシノニムとされているため、その和名もジュニアシノニムとなる。これを西平
(1988) が改称しているが、その理由、由来については述べられていない。白井 (1977) より先に江口 (1975) が Palauastrea に対しパラオサンゴの属和名を与えていることに関係があるかもしれない。
引用文献:
江口元起 (1975) 珊瑚と珊瑚礁. 郵政, 27(7): 54-57.
西平守孝 (1988) フィールド図鑑 造礁サンゴ. 東海大学出版会, 東京.
西平守孝・Veron JEN (1995) 日本の造礁サンゴ類. 海游社, 東京.
白井祥平 (1977) 原色沖縄海中動物生態図鑑. 新星図書, 那覇.
白井祥平・佐野芳康 (1985) 石垣島周辺海域サンゴ礁学術調査報告書. 太平洋資源開発研究所, 石垣.
杉山敏郎 (1947) パラオアストレア・ラモーサ. In: 内田清之助ら (編著) 日本動物図鑑改訂増補版. 北隆館, 東京, p 1565.
内田紘臣・福田照雄 (1989) 沖縄海中生物図鑑 第9巻 サンゴ. 新星図書出版, 浦添.
Veron JEN (1986) Corals of Australia and the Indo-Pacific. Angus & Robertson Publication, North Ryde, NSW.
Veron JEN (2000) Corals of the world, vol. 2. Australian Institute of Marine Science, Townsville.
Veron JEN, Pichon M (1976) Scleractinia of eastern Australia, part I. Families Thamnasteriidae, Astrocoeniidae, Pocilloporidae. Australian Institute of Marine Science, Townsville. [BHL]
Yabe H, Sugiyama T (1941) Recent reef-building corals from Japan and the
South Sea Islands under the Japanese mandate. II. Sci Rep Tohoku Imp Univ
2nd Ser Geol, spec vol 2: 67-91, pls. 60-104. [東北大学]
執筆者:梶原健次
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更新履歴:
2023-11-12 公開