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Merulinidae サザナミサンゴ科
Paragoniastrea ウネカメノコキクメイシ属

Paragoniastrea australensis (Milne Edwards & Haime, 1857)
(Figs. 1-4)

Prionastraea australensis Milne Edwards & Haime, 1857: vol. 2, 520 [Australia].

Goniastrea benhami Vaughan, 1917: 277, pl. 18, figs. 1, 2, 2a, pl. 19, figs. 1, 1a, pl. 20, fig. 1.

Goniastrea australensis: Veron, Pichon & Wijsman-Best 1977: 92, figs. 176-182; Veron 1986: 485, figs. 1-4, 1 skeleton fig.; Nishihira & Veron 1995: 349, 4 figs.; Veron 2000: vol. 3, 170, figs. 1-8, 1 skeleton fig.; Kameda, Mezaki & Sugihara 2013: 36, 120, 2 figs.

Goniastrea australiensis: Shirai 1977: 556, 1 fig.; Shirai & Sano 1985: 254, 2 figs.

Paragoniastrea australensis: Huang, Benzoni & Budd 2014: 9, figs. 5A-C, E, F, 13, figs. 6A-C; Sugihara et al. 2015: 151, 4 figs.; Nomura 2016: 42, figs. A-F; Fukami & Nomura 2017: 47, fig. 3.5C; Nishihira 2019: 99, right side 3 figs.

ウネカメノコキクメイシ 白井,1977
(図1-4)

ウネカメノコウキクメイシ 白井, 1977: 556, 1図; 白井・佐野 1985: 254, 図2 (白井新称は誤り).

ウネカメノコキクメイシ:内田・福田 1989: 81, 2図; 西平・Veron 1995: 349, 4図; 亀田・目崎・杉原 2013: 36, 120, 2図; 杉原ら 2015: 151, 4図; 野村 2016: 42, 図A-F; 深見・野村 2017: 47, 図3.5C; 西平 2019: 99, 右側3図.

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図1-4. KI-AM2018-17. 奄美大島嘉鉄, 水深 6 m. 2018-11-07. 伊藤馨司.

形態:群体形は被覆状~塊状となる。個体配列はメアンドロイド型にセリオイド型が混在する。

莢径はセリオイド型で 8~15 mm、メアンドロイド型の谷幅 (並列するコリン間の幅) は 5~10 mm である。莢壁の高さは 5~8 mm である。

隔壁は4次まで、莢壁上縁から個体中心に向かって急傾斜で落ち込み、隔壁はほぼ等間隔で規則的に配列し、7~13枚/5 mm が並ぶ。1~3次隔壁の厚さは同程度だが、4次隔壁は他の隔壁に比べて薄くて短く不規則に配列する。1次および2次隔壁は軸柱に達し、内縁でパリ状葉を形成する。隔壁縁部には鋸歯が発達し、鋸歯側面から隔壁側面基部に向かって顆粒状の尖った微小突起が並ぶ。軸柱はスポンジ状で長径 2~3 mm 程度である。

生時の色彩は、個体中央谷部と莢壁尾根部で異なり、前者が褐色~淡褐色、緑白色等で、後者は淡褐色~淡黄色や緑褐色等である。

識別点:Goniastrea pectinata コカメノコキクメイシや G. favulus ヒメウネカメノコキクメイシに似るが、本種ではメアンドロイド型配列がみられる点や莢壁が高い点、谷幅 (並列するコリン間の幅) が広い点で区別できる。Platygyra ノウサンゴ属にも似るが、本種ではパリ状葉と軸柱が発達することで区別できる。

分布と生態:水深 5~30 m の礁斜面や岩礁帯に主に分布するが、内湾的な環境では水深 5 m 以浅にも生息する。

和名の由来:白井 (1977) は本種に対してウネカメノコウキクメイシの和名を新称として与えているが、その由来については説明されていない。おそらく、かつて所属していた Goniastrea コカメノコキクメイシ属の中で、唯一メアンドロイド型の個体配列を持つ種とされたことによると思われる。

篠原 (1927) は、日本動物図鑑において「かめのこきくめいし」の和名を提唱している。「かめのこ」の由来は「亀の子」ではなく「亀の甲」とされ、以後この類の和名として「カメノコ」が使われるのが慣例となっている。白井 (1977) は「亀の甲」にちなんでウネカメノコキクメイシを提唱した思われるが、後に内田・福田 (1989) は慣例にならいウネカメノコキクメイシに修正、以後、定着している。この修正は、対応する漢字の読み方や慣例による語呂の統一によって元の和名を修正されたものであるため、和名提唱者は、修正後も置き換わることはなく白井 (1977) となる。

備考:温帯と亜熱帯の群体では莢径幅に相当な変異が認められ、より詳細な調査が必要と思われる。

参考:担名タイプの写真

Goniastrea benhami Vaughan, 1917 ── Holotype in Vaughan (1917) pl. 18, figs. 2, 2a, pl. 19, figs. 1, 1a, pl. 20, fig. 1; Paratype, pl. 18, fig. 1 [BHL]

引用文献:

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Huang D, Benzoni B, Arrigoni R, Baird AH, Berumen ML, Bouwmeester J, Chou LM, Fukami H, Licuanan WY, Lovell ER, Meier R, Todd PA, Budd A (2014) Towards a phylogenetic classification of reef corals: the Indo‐Pacific genera Merulina, Goniastrea and Scapophyllia (Scleractinia, Merulinidae). Zool Sci 43: 531-548. [ResearchGate]

亀田和成・ 目崎拓真・ 杉原薫 (2013) 黒島研究所収蔵造礁サンゴ目録第2版. NPO法人日本ウミガメ協議会付属 黒島研究所, 竹富町. [日本ウミガメ協議会付属黒島研究所]

Milne Edwards H, Haime J (1857) Histoire Naturelle des Coralliaires, ou Polypes proprement dits. Tome 2. Roret, Paris. [BHL]

西平守孝 (2019) 有藻性サンゴ類属の同定練習帳. 沖縄美ら島財団総合研究センター, 本部町.

西平守孝・Veron JEN (1995) 日本の造礁サンゴ類. 海游社, 東京.

野村恵一 (2016) 串本産有藻性イシサンゴ類図鑑. Ⅱ ナミフウセン亜目.マリンパビリオン 特別号6. [串本海中公園]

篠原雄 (1927) イシサンゴ目. In: 内田清之助ら (編著), 日本動物図鑑. 北隆館, 東京, pp 1884-1894.

白井祥平 (1977) 原色沖縄海中動物生態図鑑. 新星図書, 那覇.

白井祥平・佐野芳康 (1985) 石垣島周辺海域サンゴ礁学術調査報告書. 太平洋資源開発研究所, 石垣.

杉原薫・野村恵一・横地洋之・下池和幸・梶原健次・鈴木豪・座安佑奈・出羽尚子・深見裕伸・北野裕子・松本尚・目﨑拓真・永田俊輔・立川浩之・木村匡 (2015) 日本の有藻性イシサンゴ類.種子島編.国立環境研究所生物・生態系環境研究センター, つくば. [国立環境研究所]

内田紘臣・福田照雄 (1989) 沖縄海中生物図鑑 第10巻 サンゴ. 新星図書出版, 浦添.

Vaughan TW (1916) Some corals from Kermadec Islands. Trans Proc NZ Inst 49:275-279, pls. 17-18. [BHL]

Veron JEN (1986) Corals of Australia and the Indo-Pacific. Angus & Robertson Publication, North Ryde, NSW.

Veron JEN (2000) Corals of the world, vol. 3. Australian Institute of Marine Science, Townsville.

Veron JEN, Pichon M, Wijsman-Best M (1977) Scleractinia of Eastern Australia. Part II. Families Faviidae, Trachyphylliidae. Australian Institute of Marine Science, Townsville.

執筆者:伊藤馨司

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更新履歴:

2023-11-12 公開