Acroporidae ミドリイシ科
Anacropora Ridley, 1884
トゲミドリイシ属 白井, 1977
本属に含まれる日本産種
Anacropora forbesi Ridley, 1884 マイクロトゲミドリイシ
Anacropora matthaii Pillai, 1973 ヒメトゲミドリイシ
Anacropora puertogalerae Nemenzo, 1964 オオトゲミドリイシ
Anacropora reticulata Veron & Wallace, 1984 アミメトゲミドリイシ
Anacropora spinosa Rehberg, 1892 トゲミドリイシ
本属の解説
属の特徴:群体は樹木状を成し、中軸サンゴ個体を欠く。共骨表面は基本的に棘以外の一切の付属突起を欠くが、個体下方の共骨が下唇状もしくは円柱状に長く突出する場合がある。個体は共骨中に埋没するが、個体周囲の共骨と共に個体が筒状やドーム状に突出する場合が多い。個体は小さく、莢径は 1 mm 以下である。隔壁は基本的に長短6列ずつ、合計12列持つが、2次隔壁が退化的な場合がある。軸柱は欠くか弱く発達する。莢壁は不明瞭で裸地帯を欠く。共骨表層は多孔質の網目状を成し
(網目状共骨)、表面上の棘は小さくほぼ均一、短い棒状もしくは棍棒状を成し、上部は繊細な顆粒に被われる。
本属は同科のコモンサンゴ属と酷似し、両属の識別点は共骨表面上に棘以外の付属突起は持たない (本属) か持つ (コモンサンゴ属) のみである。
Hoeksema & Cairns (2021) によれば、トゲミドリイシ属は13の名義名を含み、その内訳は有効名が8種、異名が5種とされる。国内からは
Anacropora reticulata Veron & Wallace, 1984 アミメトゲミドリイシ、A. puertogalerae Nemenzo, 1964 オオトゲミドリイシ、A. spinosa Rehberg, 1892 トゲミドリイシ、A. matthaii Pillai, 1973 ヒメトゲミドリイシ、A. forbesi Ridley, 1884 マイクロトゲミドリイシの5種が知られる (西平・Veron 1995)。しかしながら、オオトゲミドリイシとトゲミドリイシ、ならびにヒメトゲミドリイシとマイクロトゲミドリイシのそれぞれの種同士の区別は困難である。
奄美諸島以南の内湾域に生息し、比較的出現は稀であるが、純群落を形成する場合もある。
タイプ種:Anacropora forbesi Ridley, 1884 マイクロトゲミドリイシ
引用文献:
Hoeksema BW, Cairns S (2021) World List of Scleractinia. Anacropora Ridley,
1884. Accessed at: http://
西平守孝・Veron JEN (1995) 日本の造礁サンゴ類. 海游社, 東京.
執筆者:野村恵一
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更新履歴:
2023-11-12 公開