Scleractinia イシサンゴ目
Acroporidae Verrill, 1902
ミドリイシ科
本科に含まれる日本産属
Acropora Oken, 1815 ミドリイシ属
Alveopora de Blainville, 1830 アワサンゴ属
Anacropora Ridley, 1884 トゲミドリイシ属
Astreopora de Blainville, 1830 アナサンゴ属
Isopora Studer, 1878 ニオウミドリイシ属
Montipora de Blainville, 1830 コモンサンゴ属
本科の解説
解説:ミドリイシ科のサンゴ個体は構造が単純であり、軸柱が発達せず、隔壁は6枚2サイクルの12枚までで、触手が12本であることが主な形態的特徴である。本科には日本国内で、Acropora ミドリイシ属、Isopora ニオウミドリイシ属、Anacropora トゲミドリイシ属、Montipora コモンサンゴ属、Astreopora アナサンゴ属、Alveopora アワサンゴ属の6属が知られており、世界では Enigmopora Ditlev, 2003 (和名なし) を加えた7属が含まれる。最近の分子系統学的研究によって分類体系が見直されており、Poritidae ハマサンゴ科に属していたアワサンゴ属は、ミドリイシ科に移された (Fukami et al. 2008)。また、かつてミドリイシ属は Acropora ミドリイシ亜属と Isopora ニオウミドリイシ亜属に分けられていたが、それぞれ属に昇格した (Wallace et al. 2007)。
莢径はアワサンゴ属が 2~4.5 mm で最も大きく、アナサンゴ属が 2 mm 前後であるが、その他の属は 0.5~2 mm と小さい。ミドリイシ科の群体形は枝状、塊状、被覆状、葉状などがあり、属によって限定されるが、コモンサンゴ属は最も多様で、これら全ての群体形が存在する。ミドリイシ属は枝状が基本で、分枝と癒合によって様々な群体形が形成される。トゲミドリイシ属は全て枝状群体で、コモンサンゴ属には枝状群体を形成する種が含まれているが、枝の先端に中軸サンゴ個体 (axial corallite) を欠くことでミドリイシ属やニオウミドリイシ属との区別は容易である。ミドリイシ属は枝の先端に一つの明瞭な中軸サンゴ個体を持つのに対して、ニオウミドリイシ属の中軸サンゴ個体は複数存在することが多く、放射サンゴ個体との区別が不明瞭なことなどによってミドリイシ属と区別される。アナサンゴ属は主に塊状や被覆状の群体を形成し、隔壁が短くて莢内がほぼ垂直に著しく深く落ち込んだ独特な莢を持つ。アワサンゴ属は主に塊状または枝状の群体を形成する。その個体は莢壁を共有しながら密に配列すること、骨格が極めて多孔質でレース状になることなどで、ミドリイシ科に含まれる他属とは明瞭に区別される。
なお、ここでは枝分かれが見られる群体形の総称を枝状 (branching) とし、これに含まれる樹木状 (arborescent) や芝草状
(caespitose) などと使い分ける。
タイプ属:Acropora Oken, 1815 ミドリイシ属
引用文献:
Fukami H, Chen CA, Budd AF, Collins A, Wallace C, Chuang YY, Chen C, Dai CF, Iwao K, Sheppard C, Knowlton N (2008) Mitochondrial and nuclear genes suggest that stony corals are monophyletic but most families of stony corals are not (Order Scleractinia, Class Anthozoa, Phylum Cnidaria). PLoS ONE 3: e3222. [PLoS ONE]
Oken L (1815) Steinkorallen. Lehrbuch Naturgesch 3: 59-74. [BHL]
Verrill AE (1902) Notes on corals of the genus Acropora (Madrepora Lam.) with new the descriptions and figures of types, and of several new species. Trans Conn Acad Arts Sci 11: 207-266, pls. 10-36F. [BHL]
Wallace CC, Chen CA, Fukami H, Muir PR (2007) Recognition of separate genera
within Acropora based on new morphological, reproductive and genetic evidence from Acropora togianensis, and elevation of the subgenus Isopora Studer, 1878 to genus (Scleractinia: Astrocoeniidae; Acroporidae). Coral
Reefs 26: 231-239. [ResearchGate]
執筆者:下池和幸
Citation:
更新履歴:
2023-11-12 公開