Poritidae ハマサンゴ科
Porites ハマサンゴ属
Porites okinawensis Veron, 1990
(figs. 1-8)
Porites okinawensis Veron, 1990: 111, figs. 15, 16 [Kin Bay, Okinawa Island]; Nishihira & Veron 1995: 166, 1 fig.; Veron 2000: vol. 3, 307, fig. 4, 1 skeleton fig.; Sugihara et al. 2015: 175, 4 figs.; Tachikawa 2021: 37, figs. 1P-R.
not Porites okinawensis: Dai & Horng 2009: vol. 1, 119, 2 figs.
オキナワハマサンゴ 西平・Veron, 1995
(図1-8)
オキナワハマサンゴ 西平・Veron, 1995: 166, 1図; 杉原ら 2015: 175, 4図; 立川 2021: 37, 図1P-R.
図1. HY-HC13-049 (採集2013-12-22), HY-HC14-096 (採取2014-07-19). 沼津市西浦久連, 水深 10 m. 撮影2018-12-15.
図2. HY-HC15-040. 沼津市西浦久連, 水深 16 m. 2015-11-22.
図3. HY-HC14-110. 西表島網取湾, 水深 10 m. 2014-08-04.
図4-8. HY-HC14-108. 西表島網取湾, 水深 10 m. 2014-08-04. 7, 8 はステレオ写真.
図の標本採集・撮影は全て横地洋之.
形態:小形の被覆状または塊状の群体で、サンゴ個体は凹まず表面はなめらかである。莢径は 0.9~2.0 mm で、緯度が高いほど大きい傾向がある。個体配列は不規則で、隣接個体が密着するところもあれば間隔が 2 mm ほどになるところもある。隔壁の枚数は個体の大きさによって変化するが、ほとんどの個体は隔壁が10枚で、ハマサンゴ型配列は認められない。まれに隔壁が12枚の個体が見られ、この場合はハマサンゴ型配列と融合する三幅対が認められる。隔壁は中心付近に達し、一部は軸柱と融合することがある。パリの発達は弱く、全く欠如する個体も多い。これらの特徴は生時でもポリプが伸びていない群体では明瞭に認められるため、一見して本種と分かる。生時の色彩は褐色から淡褐色のものが多い。伊豆では昼間によくポリプを伸ばしており口盤が白く目立つが、まれにポリプ全体が赤褐色のものも見られる。
識別点:本種はハマサンゴ属の中で1種のみの独立したITSクレードを形成する (Kitano et al. 2016)。サンゴ個体がほとんど凹むことなく平面的で、隔壁先端が軸柱に近接し中央窩がほとんど認められないほどに小さいこと、隔壁が10枚の個体が普通に見られることなどから、容易に他種と区別できる。Porites decasepta Claereboudt, 2006 とは群体形、サンゴ個体の形態とも類似するが、Claereboudt (2006) は本種を参照しておらず、両種の関係は不明である。
和名の由来:タイプ産地の沖縄に由来する学名に倣ったものと思われる。
備考:日本固有種。2017年に環境省のレッドリストで絶滅危惧II類(VU)に指定されている。
参考: 担名タイプの写真
Porites okinawensis Veron, 1990 ── Holotype, MTQ G32495 in Veron (1990) figs. 15 & 16;
[Queensland Museum Net]; shown as "type specimen" [Corals of the world]
引用文献:
Claereboudt M (2006) Porites decasepta: A new species of scleractinian coral (Scleractinia, Poritidae) from Oman. Zootaxa 1188: 55-62. [ResearchGate]
Dai CF, Horng C (2009) Scleractinia Fauna of Taiwan I. The Complex Group. National Taiwan University, Taipei.
Kitano YF, Yokochi H, Tisthammer K, Forsman ZH, Yasuda N, Fukami H (2016) Molecular phylogeny of Porites (Poritidae, Scleractinia, Anthozoa) from Japan. The 22nd International Congress of Zoology and the 87th Meeting of the Zoological Society of Japan Joint Events in Okinawa, Japan, 14–19 Nov. 2016. [PDF]
北野裕子・横地洋之・深見裕伸(2017)日本産ハマサンゴ属(刺胞動物門:イシサンゴ目)の分子系統解析および骨格形態解析.日本動物分類学会第53回大会,海洋研究開発機構,横浜研究所. [PDF]
Kitano YF, Yokochi H, Tisthammer K, Forsman ZH, Yasuda N, Fukami H (2016) Molecular phylogeny of Porites (Poritidae, Scleractinia, Anthozoa) from Japan. The 22nd International Congress of Zoology and the 87th Meeting of the Zoological Society of Japan Joint Events in Okinawa, Japan, 14-19 Nov. 2016.
西平守孝・Veron JEN (1995) 日本の造礁サンゴ類. 海游舎, 東京.
杉原薫・野村恵一・横地洋之・下池和幸・梶原健次・鈴木豪・座安佑奈・出羽尚子・深見裕伸・北野裕子・松本尚・目﨑拓真・永田俊輔・立川浩之・木村匡 (2015) 日本の有藻性イシサンゴ類.種子島編.国立環境研究所生物・生態系環境研究センター, つくば. [国立環境研究所]
立川浩之(2021)千葉県立中央博物館分館海の博物館に収蔵されている千葉県産有藻性イシサンゴ類標本(刺胞動物門:花虫綱). 千葉中央博自然誌研究報告特別号 11: 35–45. [千葉県立中央博物館]
Veron J (1990) New Scleractinia from Japan and other Indo-West Pacific Countries. Galaxea 9: 95-173. [Flanders Marine Institute]
Veron JEN (2000) Corals of the world, vol. 3. Australian Institute of Marine
Science, Townsville.
執筆者:横地洋之
Citation:
更新履歴:
2023-11-12 公開
2024-11-10 図キャプションに標本採集の表記を追記