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Poritidae ハマサンゴ科

Porites Link, 1807
ハマサンゴ属 篠原, 1927

目次:■本属に含まれる日本産種 ■本属の解説

本属に含まれる日本産種

Porites annae Crossland, 1952 イワハマサンゴ

Porites aranetai Nemenzo, 1955

Porites attenuata Nemenzo, 1955 ベルベットエダハマサンゴ

Porites australiensis Vaughan, 1918 ハマサンゴ

Porites brighami Vaughan, 1907

Porites cocosensis Wells, 1950

Porites cylindrica Dana, 1846 ユビエダハマサンゴ

Porites deformis Nemenzo, 1955

Porites evermanni Vaughan, 1907

Porites heronensis complex Veron, 1985 フタマタハマサンゴ種複合体

Porites horizontalata Hoffmeister, 1925 ウスイタハマサンゴ

Porites latistellata Quelch, 1886

Porites lichen Dana, 1846 ベニハマサンゴ

Porites lobata Dana, 1846 フカアナハマサンゴ

Porites lutea Milne Edwards & Haime, 1851 コブハマサンゴ

Porites mayeri Vaughan, 1918 スジハマサンゴ

Porites monticulosa Dana, 1846 サボテンハマサンゴ

Porites murrayensis Vaughan, 1918 ムレイハマサンゴ

Porites myrmidonensis Veron, 1985

Porites negrosensis Veron, 1990 ネグロスハマサンゴ

Porites nigrescens Dana, 1846 アミメハマサンゴ

Porites okinawensis Veron, 1990 オキナワハマサンゴ

Porites rus (Forskål, 1775) パラオハマサンゴ

Porites sillimaniani Nemenzo, 1976

Porites solida (Forskål, 1775) オオハマサンゴ

Porites somaliensis Gravier, 1910

Porites stephensoni Crossland, 1952 ヒメコブハマサンゴ

Porites superfusa Gardiner, 1898

Porites vaughani Crossland, 1952 ボーンハマサンゴ

本属の解説


図1. ハマサンゴ属のサンゴ個体の構造(クリックで拡大)

属の特徴:群体性で、樹木状、被覆状、板状、葉状、柱状、塊状など、群体形は多様で、群体の最大サイズも小は直径数cmから大は直径・高さとも数mに及ぶものまで種によって様々。サンゴ個体は小さく最大でも直径 2 mm あまりで、突出することはなく群体表面は概してなめらかである。莢壁は縦に並ぶ単純なトラベキュラとそれを繋ぐシナプティキュラからなる網目状のシナプティキュロテカより形成され、共骨も同じく網目状である。隔壁は、基本的に12枚が左右対称のハマサンゴ型配列をなし、背側方向隔壁、その左右に各2対の内端が融合する側隔壁対、腹側方向隔壁とその左右各1本の側隔壁からなる三幅対で構成される (図1)。三幅対には、内端が遊離するもの、シナプティキュラで繋がり三叉状になるもの、融合するものの3タイプがあるが、判断に迷うものも少なくない。その他の主な構造として、パリ、シナプティキュラ、軸柱、小輻体、歯状突起などがある。パリまたは隔壁内縁で囲まれる個体中央部の窪みを中央窩と呼び、この中に軸柱と小輻体がある。

本属は、インド・太平洋のサンゴ礁形成に関わる主要な有藻性イシサンゴ類の一つで、WLoS によれば現生種の有効名は大西洋8種・太平洋60種の計68種とされる (Hoeksema & Cairns 2023)。これらの内、これまでのところ29種が日本から記録されている (Kitano et al. 2020)。本属は、サンゴ個体が小さく肉眼および実体顕微鏡レベルで判別可能な分類形質に乏しいことから、有藻性イシサンゴ類の中で最も同定が難しいグループとされ、近年、分子および電子顕微鏡レベルの微細な骨格構造に基づく分類の見直しが行われてきている。執筆者らの調査で得た標本中にも同定困難なものが多数含まれており、研究の進展により本属の種数は飛躍的に増加する可能性がある。

タイプ種:Porites polymorphus Link, 1807 (= Porites porites (Pallas, 1766); 大西洋産種)

和名:和名は篠原 (1927) による。なお、飯島(1918)は第399図を「はまさんご Porites sp.」としているが、個体の大きさと形態、ならびに本文における解説内容からこの図は Porites ではないと推定されるため不採用とした。

引用文献:

Hoeksema BW, Cairns S (2023) World List of Scleractinia. Accessed at https://www.marinespecies.org/scleractiniaon 2023-05-12.

Kitano YF, Hongo C, Yara Y, Sugihara K, Kumagai NH, Yamano H (2020) Data on coral species occurrences in Japan since 1929. Ecol Res 2020: 1-11. [Wiley OL Lib]

Link DHF (1807-1808) Beschreibung der Naturalien-Sammlung der Universität zu Rostock. Adlers Erben. [BHL]

篠原雄 (1927) イシサンゴ目. In: 内田清之助ら (編著) 日本動物図鑑. 北隆館, 東京, pp 1884-1894.

飯島魁 (編) (1918) 動物学提要 (A manual of zoology).大日本図書株式会社. 東京. [国立国会図書館]

執筆者:横地洋之

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更新履歴:

2023-11-12 公開