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Poritidae ハマサンゴ科
Porites ハマサンゴ属

Porites rus (Forskål, 1775)
(Figs. 1-6)

パラオハマサンゴ
(図1-6)

1 2 3 4 5 6

図1-6:HY-HC14-128. 西表島網取湾, 水深 6 m. 2014-08-05. 横地洋之. 図5, 6はステレオ写真.

解説:群体は柱状部を持つ塊状ないし板状で、表面には疣状ないし畝状の突起が見られる。生時の色彩は青みがかった褐色で、個体中央にわずかに顔を出す触手が白く目立つ。個体は直径 1 mm 以下で、突起上にも分布する。莢はほとんど凹むことがなく、群体表面はなめらかである。隔壁は12枚でハマサンゴ型配列が明瞭に認められる。隔壁は莢壁に向かって楔形に肥厚し、隔壁間隙は狭い。隔壁には通常1個の良く発達した歯状突起があり、三幅対は融合する。パリは6本で良く発達する。軸柱はパリに比べて高さ太さともずっと小さな針状で、ときにこれを欠くことがあり、その場合は中央窩は深い穴となる。

これらの特徴は色彩を除いて近縁の Porites monticulosa サボテンハマサンゴと共通し、個体の形態から両種を識別することは困難である。しかし、本種は柱状部が小さく、先端が細かく分岐し突起が角張ってゴツゴツした印象を与えるのに対して、P. monticulosa は本種に比べて柱状部の直径と高さが大きく、先端の分岐が少なく丸みを帯びているという群体形状の違いから、辛うじて両種を識別することができる。

また、群体板状部は P. horizontalata ウスイタハマサンゴにも外観が似るが、この種の個体直径は 0.9~1.4 mm と大きいことと、個体は谷状部に整列する傾向があり周囲からやや凹むことで、本種と明瞭に区別できる。

我が国では奄美大島以南に分布する普通種とされてきたが、サボテンハマサンゴと混同されている可能性がある。また、本種のタイプ産地である紅海のものとの比較・精査も必要である。

執筆者:横地洋之

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更新履歴:

2023-11-12 公開