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Acroporidae ミドリイシ科
Acropora ミドリイシ属

Acropora awi Wallace & Wolstenholme, 1998
(Figs. 1-8)

Acropora awi Wallace & Wolstenholme, 1998: 332, fig. 128 [Togian Islands, Sulawesi, Indonesia].

フトヅツミドリイシ 新称
(図1-8)

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図1-3. IRI62. 西表島網取湾シタダラ沖, 水深 20 m. 2014-06-29.

図4-7. IRI107. 西表島網取湾ナータ沖, 水深 7 m. 2014-08-06.

図8. MIY404. 宮古諸島大神島, 水深 10 m. 2015-07-01.

図の撮影は全て鈴木豪.

形態:群体は洗瓶ブラシ状で、主枝は 30~40 cmに達する。根本は部分的に死亡して骨格が露出していることが多い。中軸サンゴ個体は、主枝あるいは1次側枝の先端では直径が 3 mm 程度、末枝の先端では 2.2~2.5 mm 程度で、あまり突出しない (1.5 mm 程度)。枝径は、先端部 (放射サンゴ個体1列目) で 3~4 mm 程度である。放射サンゴ個体は、幅 1.1~1.4 mm で着生管状が多いが、あまり密度は高くない。開口部の形は、円形。色彩は黄褐色が多い。

識別点:洗瓶ブラシ状の代表的な種として本種以外では、Acropora echinata トゲヅツミドリイシ、A. subglabra ホソヅツミドリイシおよび A. carduus ツツミドリイシの3種が挙げられるが、互いに類似しており区別が困難である。本種の中軸サンゴ個体の外径が他種より大きいこと、色彩が黄褐色などから区別することができる。遺伝子 (ミトコンドリア非翻訳領域) においても、本種は GEMMIFERA/INTERMEDIA GROUP に含まれ、他の洗瓶ブラシ状種と明確に区別可能である。

分布と生態:主に、内湾の深み (水深 7~20 m) や礁斜面の下部 (水深 15 m 以深) に優占する。

新称和名:洗瓶ブラシ状の種には、放射サンゴ個体が筒状になることから、○○ツツミドリイシという名称が付けられてきた。この慣習に倣い、類似種より中軸・放射サンゴ個体ともに太いことから、「太筒 (フトヅツ)」と称した。和名基準標本は IRI107 である。

和名提唱日:2023-11-12.

備考:本種は、琉球列島の内湾域では普通にみられるが、1998年にインドネシア産標本が新種記載された後、日本での分布は長らく認識されてこなかった。2014~2015年にかけて、西表島網取湾および宮古諸島大神島で採集した標本を精査し、A. awi と同定した。

参考:担名タイプの写真

Acropora awi Wallace & Wolstenholme, 1998 ── Holotype, G50646; Paratype, G50652 [Qld Mus Net]

引用文献:

Wallace CC, Wolstenholme J (1998) Revision of the coral genus Acropora (Scleractinia: Astrocoeniina: Acroporidae) in Indonesia. Zool J Linn Soc 123: 199-384. [Zool J Linn Soc]

執筆者:鈴木豪

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更新履歴:

2023-11-12 公開