Acroporidae ミドリイシ科
Acropora ミドリイシ属
Acropora cf. yongei
(Figs. 1-6)
図1-4. AMT-34. 西表島網取湾シクバ奥, 水深 8 m. 2014-06-30. 下池和幸. 放射サンゴ個体は管状で長く突出する.
図5, 6. SEK316. 西表島網取湾シクバ奥, 水深 19 m. 2014-06-30. 鈴木豪. 深場で枝が細長く伸びた群体.
形態:群体形は樹木状で、主枝の直径は 8~15 mm、長さは 50 cmを超えることもある。中軸サンゴ個体はやや大きく突出し、外径は 2.0~3.5 mm、内径は 0.8~1.2 mmである。1次隔壁は 2/3R 以下、2次隔壁は 1/3R 以下である。放射サンゴ個体は耳形開口の管状で外側に湾曲して突出し、莢壁は薄い。外唇部はほとんど広がらず、外径は 1.8~2.1 mmで ある。放射サンゴ個体は管状に長く突出するものから埋没するものまでサイズにばらつきがあり、不規則に配列する。また伸長方向も整っておらず、枝先方向のみならず枝の根元に向かって伸長するものも見られる。1次隔壁は 1/2R 以下、2次隔壁は 1/4R 以下で見られないこともある。共骨は粗い網目状で、側偏棘が列を成して並び、放射サンゴ個体の側面と枝先に向かうに従って肋状または肋が発達する。並列した肋状または肋の間には網目状に穴が空いているので、放射サンゴ個体の薄い莢壁はレース状に透けて見える。多孔質の骨格は軽くて脆い。
識別点:本種はこれまで Acropora yongei ヤングミドリイシ の1タイプとされてきた。群体形が樹木状で、放射サンゴ個体の開口部が耳形であるという点では A. yongei の特徴を表している。しかし、放射サンゴ個体が管状で長く突出し、莢壁が薄いレース状という特徴は A. akajimensis アカジマミドリイシと似ており、放射サンゴ個体の配列が乱れた様子は A. grandis クロマツミドリイシと似ている。未記載種または交雑種の可能性があり、今後の検討が必要である。
執筆者:下池和幸
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更新履歴:
2023-11-12 公開