Acroporidae ミドリイシ科
Acropora ミドリイシ属
Acropora dendrum (Bassett-Smith, 1890)
(Figs. 1-24)
コエダハナガサミドリイシ
(図1-24)
図1-12. OMC-90-H35. 小笠原諸島母島, 水深 3 m. 1990-07-27. 標本採集:立川浩之,
撮影:梶原健次. 立川ら (1991) で記録された標本.
図13-24. CMNH-ZG 05567. 天草春這, 水深 10 m. 2009-10-06. 標本採集・生時写真撮影:立川浩之,
標本写真撮影:梶原健次. 放射サンゴ個体が埋在する群体. 中軸サンゴ個体は隔壁が肥厚して莢の内部が狭くなる場合がある(図19, 20).
解説:群体形は不規則に分枝する芝草状またはコリンボース状。枝は、先端に行くにつれて徐々に細くなる円錐形だが、枝先が扁平になることもある。中軸サンゴ個体は外径 2.5~3.5 mm 程度、内径 1.0~1.6 mm 程度で 1 mm ほど突出するが、枝が太い場合には突出が不明瞭になる。隔壁の長さは、1次隔壁が 3/4R 以下、2次隔壁が 2/3R 以下。隔壁が肥厚して、莢の内部が狭くなる場合がある。放射サンゴ個体は外径 1.2~2.2 mm、内径 0.6~1.2 mm 程度で、突出が弱い密着鼻状もしくは密着管状で、時に埋在となる。隔壁の長さは、1次隔壁が 2/3R 以下、2次隔壁が 1/2R 以下となる。共骨は、突出する中軸サンゴ個体で肋状となるが、それ以外の部分では側偏棘に覆われる。
国内では、天草と小笠原で標本が得られており、後者は立川ら (1991) で報告されている。このほか、西平・Veron (1995) によると八重山、土佐清水、天草、白浜にも分布するとされる。標本を確認できる記録がほとんどなく、国内分布については検討が必要。
参考:担名タイプの写真
Madrepora dendrum Bassett-Smith, 1890 ── Type (= lectotype, NHM 1869.9.24.54) in Brook (1983)
pl. 33, fig. B [BHL]
引用文献:
Bassett-Smith PW (1890) Report on the corals from the Tizard and Macclesfield Banks, China Sea. Ann Mag Nat Hist 6: 353-374. [BHL]
Brook G (1893) Catalogue of the madreporarian Ccorals in the British Museum (Natural History), Vol. I. The genus Madrepora. Trustees of the British Museum, London. [BHL]
西平守孝・Veron JEN (1995) 日本の造礁サンゴ類. 海游社, 東京.
立川浩之・菅沼弘行・佐藤文彦 (1991) 父島列島・母島列島の造礁サンゴ類. In: 東京都立大学小笠原研究委員会 (編) 第二次小笠原諸島自然環境現況調査報告書.
東京都立大学, 東京, pp 285-296.
執筆者:梶原健次
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更新履歴:
2023-11-12 公開