Top page科・属リストAcroporidaeAcroporaAcropora echinata

Acroporidae ミドリイシ科
Acropora ミドリイシ属

Acropora echinata (Dana, 1846)
(Figs. 1-19)

Madrepora ecihnata Dana, 1846: 464 [Fiji]; 1849: pl. 36, figs.1, 1a.

Madrepora durvillei Milne Edwards, 1860: 148 [Fiji].

Madrepora procumbens Brook, 1891: 467 [South Seas]; 1893: 188, pl. 29, fig. D.

Acropora echinata: Uchida & Fukuda 1989: 114, 2 figs.

トゲヅツミドリイシ 内田・福田, 1989
(図1-19)

トゲヅツミドリイシ 内田・福田, 1989: 114, 2図.

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19

図1-3. AMM41. 奄美大島白浜, 水深 5 m. 2016-10-03.

図4-6. AMM80. 奄美大島油井小島, 水深 7 m. 2016-10-05.

図7-9. AMM97. 奄美大島油井小島, 水深 5 m. 2016-10-05.

図10, 11. IRI42. 西表島網取湾, 水深 8 m. 2011-06-29.

図12-14. AMM38. 奄美大島白浜, 水深 9 m. 2016-10-03.

図15, 16. AMM75. 奄美大島油井小島, 水深 7 m. 2016-10-05.

図17-19. AMM96. 奄美大島油井小島, 水深 6 m. 2016-10-05.

図の標本採集・撮影は全て鈴木豪.

形態:群体は洗瓶ブラシ状。2次分枝が密になり、比較的長く伸びるため、主枝を含んだ全体が太く見えることが多いが、変異は大きく、2次分枝があまり伸びない群体も見られる (深場に多い印象)。3次分枝にあたる末枝は長く伸びることが多い。放射サンゴ個体は着生管状で、枝先端付近ではわずかに膨らむ程度である。

識別点:本種は類似する他種と比較して、2次分枝と3次分枝 (末枝) が軸枝の外側に向かって綺麗に揃って湾曲して伸びる傾向にあり、洗瓶ブラシ状種の代表的な種と言える。しかし、2次分枝や末枝の長さや太さに変異が大きく、隠蔽種が含まれる可能性は否定できない。比較的見分けやすい特徴のある他の洗瓶ブラシ状種以外で、分子系統解析 (ミトコンドリア非翻訳領域) において DIGITIFERA/NASUTA GROUP に含まれるものを本種としている。

分布と生態:内湾域のパッチリーフの斜面 (水深 5~15 m) に多くみられる。地理的には、奄美大島以南に生息する。

和名の由来:本種の和名は内田・福田 (1989) により与えられた。スギエダキサンゴの和名があったがキサンゴ類と紛らわしいので改称したと説明されている。トゲヅツミドリイシの由来については述べられていない。また、内田・福田 (1989) は、白井 (1977) のナガヅツミドリイシはオオヅツミドリイシとも述べている。すなわち、白井 (1977) が基準とした標本は、Acropora echinata ではなく A. longicyathus であり、後者に対してはオオヅツミドリイシ和名が既に与えられているため、白井 (1977) が提唱した和名はオオヅツミドリイシのジュニアシノニムということになる。

参考:担名タイプの写真等

Madrepora ecihnata Dana, 1846 ── Syntypes, USNM 275 [Smithson NMNH]; USNM 276 [ditto]

Madrepora procumbens Brook, 1891 ── in Brook (1893) pl. 29, fig. D [BHL]

引用文献:

Brook G (1891) Descriptions of new species of Madrepora in the collections of the British Museum. Ann Mag Nat Hist 8: 458-471. [zenodo]

Brook G (1893) Catalogue of the madreporarian Ccorals in the British Museum (Natural History), Vol. I. The genus Madrepora. Trustees of the British Museum, London. [BHL]

Dana JD (1846, 1849) United States exploring expedition during the years 1838, 1839, 1840, 1841, 1842 under the command of Charles Wilkes, U.S.N. Vol. VII. Zoophytes. Lea and Blanchard, Philadelphia. [Smithson Lib: text, plates]

Milne Edwards H (1860) Histoire naturelle des coralliaires ou polypes proprement dits. Tome 3. Librairie Encyclopédique de Roret, Paris. [BHL]

白井祥平 (1977) 原色沖縄海中動物生態図鑑. 新星図書, 那覇.

内田紘臣・福田照雄 (1989) 沖縄海中生物図鑑 第9巻 サンゴ. 新星図書出版, 浦添.

執筆者:鈴木豪

Citation:

 

更新履歴:

2023-11-12 公開

2024-11-10 図キャプションに標本採集の表記を追記