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Acroporidae ミドリイシ科
Acropora ミドリイシ属

Acropora grandis (Brook, 1892)
(Figs. 1-6)

Madrepora grandis Brook, 1892: 457 [Palm Island, Great Barrier Reef].

Acropora dispar Nmenzo 1967: 55, pl. 19, figs. 3, 4 [Puerto Galera, Oriental Mindoro, Phippines].

Acropora grandis: Uchida & Fukuda 1989: 138, 2 figs.

クロマツミドリイシ 内海, 1966
(図1-6)

クロマツミドリイシ 内海, 1966: 101 (Acropora cf. acuminata として); 内田・福田 1989: 138, 2図.

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図1-3. SEK123. 石西礁湖, 水深 7 m. 2011-06-28.

図4-6. URA27. 石垣島浦底湾, 水深 15 m. 2009-08-31.

図の撮影は全て鈴木豪.

解説:群体は大型の樹木状。

識別点:大型の樹木状種の中で、放射サンゴ個体が密に配置し、先端が脆いことで識別できるが Acropora muricata スギノキミドリイシとの区別が難しい。分子系統解析 (ミトコンドリア非翻訳領域) においても、本種は MURICATA GROUP に含まれ、今後更なる検討が必要である。

分布と生態:主に、内湾の深み (水深 ~20 m) や礁湖内に生息する。

和名の由来:内海 (1966) は紀伊半島西南岸産サンゴ目録において、Acropora cf. acuminata に対しクロマツミドリイシの和名を、新称と明示して与えている。その後、内田・福田 (1989) は A. grandis に対してこの和名を用い、これより先に発表された白井 (1977) がクロマツミドリイシとしたものが誤同定であることを併せて指摘しているが、内海 (1966) については触れていない。

内海 (1966) には図版がないため和名の基準標本が確認できないことに加え、紀伊半島に A. grandis が分布していたかどうかについては疑問が残るが、内田・福田 (1989)、西平・Veron (1985) などで本種に対する和名として、クロマツミドリイシが定着していることから、本稿ではこの和名を踏襲する。

備考:上記以外にも、放射サンゴ個体が整然と並び、骨格が硬い形態型のものが本種と認識されている場合がある (図7, 8)。しかし、こちらの形態型は、分子系統解析 (ミトコンドリア非翻訳領域) でも、GEMMIFERA/INTERMEDIA GROUP に含まれ、別種 (A. abrolhosensis ではないかとの指摘あり) と考えられる。

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図7, 8. SEK358. 西表島網取湾, 水深 7 m. 2014-06-30. 鈴木豪.

参考:担名タイプの写真

Madrepora grandis Brook, 1892 ── Lectotype, NHM 1892.6.8.60 in Brook (1892) pl. 1, fig. A. [BHL].

Acropora dispar Nemenzo, 1967 ── Holotype, UP C-262 [Nemenzo Species List]

引用文献:

Brook G (1892) Preliminary descriptions of new species of Madrepora in the collection of the British Museum. Part II. Ann Mag Nat Hist 10: 451-465. [BHL]

西平守孝・Veron JEN (1995) 日本の造礁サンゴ類. 海游社, 東京.

白井祥平 (1977) 原色沖縄海中動物生態図鑑. 新星図書, 那覇.

内田紘臣・福田照雄 (1989) 沖縄海中生物図鑑 第9巻 サンゴ. 新星図書出版, 浦添.

内海冨士夫 (1966) 紀伊半島沿岸の浅海珊瑚類相の概況. In: (財)日本自然保護協会, 日本自然保護協会調査報告第27号 和歌山県海中公園学術調査報告書, pp 97-102.

執筆者:鈴木豪

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更新履歴:

2023-11-12 公開