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Acroporidae ミドリイシ科
Acropora ミドリイシ属

Acropora japonica Veron, 2000
(Figs. 1-11)

Acropora japonica Veron, 2000: vol. 1, 330 (part), 1 skeleton fig.; 2002: 53, figs. 102-105 [Shimaura, Nobeoka]; Nomura & Mezaki 2005: 32, pl. 1, fig. 4; Wallace, Done & Muir 2012: 100, fig. 48; Sugihara et al. 2015: 25, 4 figs.

not Acropora japonica: Veron 2000: vol. 1, 330 (part), figs. 1, 2 (= Acropora hyacinthus), fig. 4 (= Acropora glauca).

Acropora japonica : Veron, 2000: vol. 1, 330 (part), fig. 3 (= Acropora solitaryensis ?).

ニホンミドリイシ 野村・目崎, 2005
(図1-11)

ニホンミドリイシ 野村・目崎, 2005: 32, pl. 1, 図4; 杉原ら 2015: 25, 4図.

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図1, 2. TAN-14. 馬毛島北東, 水深 13 m. 2017-12-02.

図3, 4. KS-AMK-1932. 天草牛深砂月, 水深 7 m. 2019-10-11.

図5-8. KS-AMK-1906. 天草富岡ツツマセ, 水深 5 m. 2019-10-09.

図9-11. 東北大学所蔵 Lectotype, IGPS 108946. 2011-02-15.

図の撮影: 1-8. 下池和幸; 9-11. 梶原健次.

形態:群体形は指状で、板状または被覆状の基部から短い円錐形の直立枝が突出するが、群体縁辺部では斜め上方に伸長する。板状の基部は水平方向に伸びた枝が癒合して形成されたものであるが、その枝の名残に沿って直立枝が連なっており、間いた枝間には水平面の基部が広く露出する。枝基部の太さは 5~15 mm、枝の長さは 25 mm 以下である。中軸サンゴ個体はあまり大きくならず、外径は 2.5~3.6 mm、内径は 0.9~1.2 mm である。隔壁は良く発達し、1次隔壁は 3/4R 以下、2次隔壁は 1/3R 以下である。放射サンゴ個体は短い圧着管状で円形開口。1次隔壁は 2/3R 以下、2次隔壁は 1/3 以下である。中軸サンゴ個体と放射サンゴ個体ともに莢壁が肥厚して丸みを帯びることが多く、基部では埋没する。共骨は粗い網目状で、単一尖端棘や側偏棘が密生する。放射サンゴ個体の側面では荒い肋状が並ぶこともある。骨格は強固であるが、共骨表面の構造が粗いため表面は脆く、滑らかではない。

識別点:本種はかつて Acropora gemmifera の一タイプとして扱われてきたが、群体形はコリンボース状になることはなく、直立枝間の基部に広い空間があるなどの点が異なる。また、直立枝は円錐形で、中軸サンゴ個体は放射サンゴ個体に比して大きくならない点でも識別される。この特徴は隔壁の長さにも表れており、中軸サンゴ個体に比して放射サンゴ個体の隔壁が著しく短くなることはない。群体形は A. sp. 1 aff. digitifera にも似ているが、放射サンゴ個体の形状などが異なる。

分布と生態:種子島以北の天草、五島列島、四国、紀伊半島の温帯海域に分布する。波当たりの強い礁斜面の浅所でごく普通にみることができる。色彩は赤褐色、黄褐色、緑など。

和名の由来:和名は学名にちなむ。

備考: 種子島では、サンゴ個体の形状は A. japonica に似ているが、様々なサイズの直立枝が密集して基部に空間のない形態のものが観察され、A. aff. gemmifera として扱われている (杉原ら 2015)。また、A. solitaryensis (卓状型) との区別が困難なものもあり、さらなる検討が必要である。ちなみに、Veron (2000)で A. japonica として掲載されている fig. 3 は A. solitaryensis の可能性がある。ここでは本種の典型的な写真は掲載されておらず、Veron (2002) を参照する必要がある。

参考:担名タイプの写真

Acropora japonica Veron, 2000 ── Lectotype, IGPS 108946 in Veron (2002) figs. 102, 103 [AIMS]. Veron (2002) は 担名タイプを Holotype として掲載しているが、正しくは Lectotype. また産地を southern Honshu としているが、宮崎県延岡市島浦 (島ノ浦) の誤り (上掲図9参照)。なお、Corals of the worldにも同一写真が掲載されている (キャプションに "Type specimen" と記載された写真)。

引用文献:

野村恵一・目崎拓真 (2005) 高知県大月町海域から記録された造礁性サンゴ類. Kuroshio Biosphere 2: 29-43. [黒潮生物研究所]

杉原薫・野村恵一・横地洋之・下池和幸・梶原健次・鈴木豪・座安佑奈・出羽尚子・深見裕伸・北野裕子・松本尚・目﨑拓真・永田俊輔・立川浩之・木村匡 (2015) 日本の有藻性イシサンゴ類. 種子島編.国立環境研究所生物・生態系環境研究センター, つくば. [国立環境研究所]

Veron JEN (2000) Corals of the world, vol. 1. Australian Institute of Marine Science, Townsville.

Veron JEN (2002) New species described in corals of the world. Australian Institute of Marine Science, Townsville. [AIMS]

Wallace CC, Done BJ, Muir PR (2012) Revision and catalogue of worldwide staghorn corals Acropora and Isopora (Scleractinia: Acroporidae) in the Museum of Tropical Queensland. Queensland Museum, Brisbane. [ResearchGate]

執筆者:下池和幸

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更新履歴:

2023-11-12 公開