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Fungiidae クサビライシ科

Halomitra Dana, 1846

Halomitra Dana, 1846: 311.

カブトサンゴ属 西平・Veron, 1995

カブトイシ [属] 江口, 1975: 56.

ウスヘルメットイシ属 白井 in 白井・佐野, 1985: 229.

カブトサンゴ属 西平・Veron, 1995: 258.

本属に含まれる日本産種

Halomitra pileus (Linnaeus, 1758) カブトサンゴ

本属の解説

属の特徴:サンゴ体は非固着性で多口性。二次口は口周縁出芽により形成される。 成長したサンゴ体は大型の中空ドーム状となる。隔壁・肋の鋸歯は荒く、基本的に単純な三角形または棍棒状である。隣接する隔壁-肋ユニット間のサンゴ体壁にはスリット状の穴が開く。

タイプ種:Fungia pileus (Linnaeus, 1758) [= Halomitra pileus (Linnaeus, 1758)] (単型によるタイプ種)

学名の由来: “Gr: halos, sea; Gr: mitra, hat. Relating to the hat-like shape of this coral”. ギリシャ語の海を意味する halos と帽子を意味する mitra より、本属の帽子のような形態に関連して命名されたものと思われる (Wood 1983)。

和名の由来:Halomitra に対して最初に提唱された和名は、江口 (1975) によるカブトイシ [属] であると思われるが、提唱された媒体が生物学とは無関係の出版物であったため、その後の研究者にはほとんど認識されることはなかった。このため、白井・佐野 (1985) は Halomitra pileus を日本新記録種としてウスヘルメットイシ (白井新称) の和名で報告するにあたり、Halomitra をウスヘルメットイシ属 (白井) とした。西平・Veron (1995) は Halomitra をカブトサンゴ属としたが、これは内田・福田 (1989) がウスヘルメットイシをカブトサンゴの異名としたことに基づくものと推察される (本ウェブ図鑑の Halomitra pileus カブトサンゴのページを参照)。現在は、Halomitra の和名としてはカブトサンゴ属が一般的に使用され、カブトイシ属およびウスヘルメットイシ属は全く使われていないと考えられるため、和名の安定を図り混乱を避ける観点から、本稿では西平・Veron (1995) の用例に従い Halomitra の和名をカブトサンゴ属とすることを提唱する。

備考:Gittenberger et al. (2011) によると、カブトサンゴ属 Halomitra に含まれる Halomitra pileus および H. clavator の2種は、形態・分子の両面から単系統性が支持される。

引用文献:

Dana JD (1846, 1849) United States exploring expedition during the years 1838, 1839, 1840, 1841, 1842 under the command of Charles Wilkes, U.S.N. Vol. VII. Zoophytes. Lea and Blanchard, Philadelphia. [Smithson Lib: text, plates]

江口元起 (1935) 南洋パラオ群島の珊瑚及珊瑚礁 (予報). 東北帝国大学理学部地質学古生物学教室研究報文報告 16: 1-49.

江口元起 (1975) 珊瑚と珊瑚礁. 郵政 27(7): 54-57.

Gittenberger A, Reijnen BT, Hoeksema BW (2011) A molecularly based phylogeny reconstruction of mushroom corals (Scleractinia: Fungiidae) with taxonomic consequences and evolutionary implications for life history traits. Contrib Zool 80: 107-132 [ResearchGate]

西平守孝・Veron JEN (1995) 日本の造礁サンゴ類. 海游社, 東京.

白井祥平・佐野芳康 (1985) 石垣島周辺海域サンゴ礁学術調査報告書. 太平洋資源開発研究所, 石垣.

内田紘臣・福田照雄 (1989) 沖縄海中生物図鑑 第9巻 サンゴ. 新星図書出版, 浦添.

Wood EM (1983) Corals of the world, biology and field guide. T.F.H. Publications, Hardcover.

執筆者:立川浩之

Citation:

 

更新履歴:

2024-04-06 公開

2024-04-11 Gittenberger et al. (2011) の分子系統学的な検討に関する備考を、カブトサンゴ(種)のページからこのページに移動。