Acroporidae ミドリイシ科
Montipora コモンサンゴ属
Montipora sp. URASOKO sensu Nomura & Suzuki, 2015
(Figs. 1-3)
Montipora sp. URASOKO Nomura & Suzuki, 2015: 7, fig. 65.
ウラソココモンサンゴ 野村・鈴木, 2015
(図1-3)
ウラソココモンサンゴ 野村・鈴木, 2015: 7, 図65.
図1. ウラソココモンサンゴ. Fig. 1. Montipora sp. URASOKO sensu Nomura & Suzuki, 2015.
A-H. SMP-HC 2319, 和名基準標本. 八重山諸島石垣島浦底湾, 水深 15 m. 2011-06-22: A-C. 群体; D. サンゴ体板状部上面; E, F. 同, 個体とその周囲; G. 同, 共骨表面の棘; H. 同共骨表面の断面, 棘とその土台.
定規の目盛り: 1 mm. スケールバー: 1 mm. 写真: A-C. 鈴木豪撮影; D-H. 野村恵一撮影.
図2. ウラソココモンサンゴ. Fig. 2. Montipora sp. URASOKO sensu Nomura & Suzuki, 2015.
A-D. SMP-HC 2300. 浦底湾, 水深 15 m. 2011-06-22: A-C. 群体; D. サンゴ体板状部上面.
E-H. CMNH-ZG 09127(SMP-HC 3619) . 奄美諸島奄美大島阿鉄湾, 水深 33 m. 2018-02-04: E, F. 群体; G. サンゴ体板状部上面, 個体とその周囲; H. 同, 共骨表面断面,棘とその土台.
定規の目盛り: 1 mm. スケールバー: 1 mm. 写真: A-C. 鈴木豪撮影; E, F. 立川浩之撮影; D, G, H. 野村恵一撮影.
図3. ウラソココモンサンゴ. Fig. 3. Montipora sp. URASOKO sensu Nomura & Suzuki, 2015.
A, B. SMP-HC 4240. 群体. 八重山諸島石垣島名蔵湾, 水深 20 m. 2024-10-04.
C-H. SMP-HC 4242. 名蔵湾, 水深 25 m. 2024-10-04: C-E. 群体; F. サンゴ体板状部上面: G. 同, 個体とその周囲; H. サンゴ体板状部下面.
定規の目盛り: 1 mm. スケールバー: 1 mm. 写真: 野村恵一撮影.
形態:群体は板状もしくは被覆板状を成し、板状部は水平に張り出す。被覆状部と板状部のそれぞれの大きさの比率は、群体によって異なる。群体長径は 60 cm に達し、上面には瘤状突起よりも大きな大型突起を欠く。板状部はやや薄く、厚さは縁で約 2 mm、縁から 5 cm の距離で約 3.5 mm である。
サンゴ体上面では共骨は霜柱状突起を含む微小突起を欠く。多くの個体は低くて厚くかつ丸みのある個体壁を備えるが、その幅や高さは不均一である。個体壁の一部は時に突出して疣状突起を形成するが、その形や大きさ、分布も不均一である。疣状突起は時に接合してごく短いコリンを形成する。また、サンゴ体縁部ではしばしばコリンや疣状突起が短い放射列を形成する。疣状突起の短径、コリン幅、個体壁幅は共に平均 1.5 mmである。疣状突起の最大短径は 3.2 mm、平均高は 1.4 mm、最大高は 2.6 mm、高幅比
(平均高/平均短径) は 0.9 である。個体壁を備えた個体は時に単体で隆起し、粒状突起を形成する。また、粒状突起が集まって瘤状突起を形成する場合がある。
個体の分布には粗密があるが、概して疎らに分布し、個体間隔は個体3個分以内である。個体は基本的に共骨面からは突出しない。個体開口面は共骨面に対し垂直方向を向くが、サンゴ体縁部では縁方向に傾斜する。莢径は平均 0.8
(範囲は0.6~1.0) mm で、個体の大きさは本属中では中程度である。隔壁は鋸歯状もしくは準板状を成し、先は時に膨らみ、時にやや捻れ、莢開口面より突出しないか、わずかに突出する。隔壁はほぼ垂直方向に並び、軸柱は認められないか弱く発達する。方向隔壁の長さは平均 0.9R である。1次隔壁はほぼ完全・規則的で、長さは平均 0.7R である。2次隔壁は不規則・不完全で、長さは平均 0.3R であるが、痕跡的な場合が多い。莢壁はほぼ明瞭であるが、上縁が棘に被われて視認できない場合がある。裸地帯は識別できない。
共骨表面の目合いは平均 0.17 mm で、網目はフレームよりも幅狭く、共骨の肌理の細かさは中程度である。棘は基本的に、共骨面から立ち上がった棒状、薄片状、テーブル状もしくは掌状をした土台の上縁に放射状に分布する。土台の高さは約 0.3 mm、長径は約 0.5 mm、棘の長さは平均 0.14 mm で、棘の表面は顆粒状突起に密に被われる。棘の土台上縁は成長と共に互いに連結し、新たな共骨表層面を形成する。
サンゴ体板状部下面ではエピテカがよく発達しほぼ縁まで共骨を被う。
生時の色彩は一様な褐色で、群体縁部とポリプは明色を呈する。
識別点: 本種の重要な分類形質 (サンゴ体は薄い板状部を持つ、霜柱状突起を欠く、棘は特異な土台上に分布する) は Montipora florida ハナコモンサンゴとも共有する。両者の識別点については、ハナコモンサンゴの項を参照されたい。
和名の由来:和名は日本初産地 (石垣島浦底湾) に因む。和名基準標本は SMP-HC 2319 である。
備考:本種は既知種の中に該当するものが見当たらないため、未記載種であると思われる。
引用文献:
野村恵一・鈴木豪 (2015) コモンサンゴ類の同定の話(28), 国内産種の紹介16, イボコモンサンゴ種群(3). マリンパビリオン特別号3.
[串本海中公園]
執筆者:野村恵一・鈴木豪
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更新履歴:
2025-05-04 公開