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Acroporidae ミドリイシ科
Montipora コモンサンゴ属

Montipora stalagmites Ortmann, 1888
(Fig. 1)

Montipora stalagmites Ortmann, 1888: 154, pl. 6, fig. 2 [Tahiti]; Bernard 1897: 87; Nomura, Baird & Suzuki 2023: 42, figs. 1, 2.

ダイトウコモンサンゴ 野村・Baird・鈴木,2023
(図1)

ダイトウコモンサンゴ 野村・Baird・鈴木, 2023: 42, 図1, 2.

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図1. ダイトウコモンサンゴ.Fig. 1. Montipora stalagmites Ortmann, 1888.

A-H, SMP-HC 3945. 大東諸島南大東島塩屋海岸, 水深 1 m: A-C, 被覆状付着基部上に大型突起を持つ群体; D, サンゴ体; E-H, 同, 個体とその周囲. 定規の目盛り: 1 mm. スケールバー: 1 mm. 写真: 野村恵一撮影.

形態:群体は被覆状付着基質を持ち、その上のあちこちから多数の指状や樹木状の大型突起を伸ばす。樹木状突起の高さは 5 cm、基部の太さは 2 cm に達し、枝の分枝次数は3次まで、枝の断面は円形か側扁し、枝は所々で接合する。末枝は円柱状か扁平な柱状を成し、先はすぼまないかやや先細りする。末枝の長さは最長で 2 cm、基部の太さは約 5 mm である。

サンゴ体共骨上には微細な霜柱状突起が分布し、疣状突起や個体壁等の小型突起を欠く。霜柱状突起は棘の束状で、短径は平均 0.25 mm、高さは平均 0.4m m で、末枝上で顕著であるが、それ以外では発達しない。

たいていの個体は莢壁の伸長に伴って顕著な筒状に突出し、莢開口部はやや窄まる。個体の高さは様々であるが、平均 0.7 mm、最も高いものは 1.2 mm に達する。莢径は平均 0.7 mm、莢壁外径は平均 1.3 mm、莢壁の厚さは平均 0.2 mm である。個体は共骨面に対し垂直方向を向くが、枝先では枝先方向に傾斜する。個体は密生し、個体間隔は個体1個分以内である。個体間にはしばしば若い個体が出現し (触手環外出芽)、触手環内出芽は認められない。隔壁の発達度合いは個体により変異が大きいが、大形の個体では2次隔壁までほぼ完全・規則的である。隔壁は鋸歯状か準板状を成して垂直に並び、莢開口面からわずかに突出し、軸柱はたいてい弱く発達する。各隔壁の平均長は、方向隔壁が 0.5R、1次隔壁が 0.4R、2次隔壁が 0.3R である。莢壁は筒状に突出し、莢壁上縁から外縁にかけて破線状の弱い肋を生じる。裸地帯はほとんど認められない。

共骨表面はたいてい多孔質であるが、枝の基部では目が詰まる場合がある。目合いは平均 0.14 mm で、肌理は細かい。棘は繊細で、霜柱状突起上や莢壁側面の肋上でより発達し、長さは 0.15 mm、針状か先が刻まれた薄片状を成し、上縁には繊細な顆粒状突起が分布する。

生時の色彩は共肉・ポリプ共に一様な黄褐色を呈する。

識別点:本種の重要な分類形質は、付着基部上に樹木状突起を形成すること、繊細な霜柱状突起を持つこと、莢壁が筒状に突出することであり、これらの形質は Montipora stellata シゲミコモンサンゴとも共有する。この種は分枝次数が4次までの細かく分かれた枝を持つこと、筒状個体は共骨 (個体壁) が個体と共に伸長して形成されること、しばしば疣状突起、コリン、個体壁の小型突起を持つことによって、本種と区別される。

分布と生態:国内では南大東島、海外ではタヒチ (タイプ産地) から知られる。南大東島産の標本はタイドプールの水深 1 m から採集された。

和名の由来:南大東島が国内初産地であることに因む。和名基準標本はSMP-HC 3945 (南大東島産)。

備考:本種は世界で2例しか記録のない希種であり、南大東島の標本は原記載 (タイプ産地はタヒチ) 以来135年ぶりの発見となった。この記録の少なさと、両産地間の距離の大きな隔たりは不自然であるが、南大東島の標本の形態は原記載ならびにホロタイプとほぼ一致した (Nomura et al. 2023)。

引用文献:

Bernard HM (1897) Catalogue of the madreporarian corals in the British Museum (Natural History). Vol. 3. The genus Montipora, the genus Anacropora. Trustees of the British Museum, London [BHL]

Nomura K, Baird AH & Suzuki G (in press) First record in 135 years since the original description of a zooxanthellate scleractinian coral, Montipora stalagmites Ortmann, 1888 collected from Minami-Daitojima Island (Okinawa, Japan), and the Montipora fauna of this Island. Fauna Ryukyuana, 68: 41-51.

Ortmann A (1888) Studien über Systematik und geographische Verbreitung der Steinkorallen. Zoologische Jahrbücher, Abteilung für Systematik, Geographie und Biologie der Tiere. 3: 143-188, pl. 6. [Zobodat]

執筆者:野村恵一・鈴木豪

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更新履歴:

2023-11-12 公開