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Fungiidae クサビライシ科

Polyphyllia Blainville, 1830

Polyphyllia Blainville, 1830: 305.

Lithactinia Lesson, 1831: pl. 6.

Cryptabacia Milne Edwards & Haime, 1849: 71.

ナマコイシ属 改称

キュウリイシ [属] 江口, 1975

イシナマコ属 白井・佐野, 1985: 232.

本属に含まれる日本産種

Polyphyllia talpina (Lamarck, 1801) ナマコイシ (属のタイプ種)

本属の解説

属の特徴:サンゴ体は非固着性で多口性。成長したサンゴ体は長い楕円形で上面正中線上に初口の口内出芽に由来する二次口が列状に並び、その周辺の上面~側面全体に口周縁出芽に由来する二次口が分布する。多数の口が密に分布するため、隔壁は隣接する口の間を結ぶ短い口間隔壁となる。隔壁上縁に顆粒を持つ鋸歯が並ぶ。肋は鈍端の棘で覆われる。隣接する肋間のサンゴ体壁にはスリット状の穴が開く。

タイプ種:Polyphyllia talpina (Lamarck, 1801) (単型によるタイプ種).

学名の由来: “Gr: polys, many; Gr: phyllon, leaf. A reference to the numerous calices with their leaf-like appearance”. ギリシャ語の多数を意味するpolysと葉を意味するphyllonより、本属サンゴに見られる植物の葉のように見える多数の莢に由来する名前 (Wood 1983)。

和名の由来:杉山 (1947) は Polyphyllia talpina (Lamarck, 1801) にイシナマコの和名を与えたが、属の和名には言及していない。江口 (1975) は Polyphyllia Blainville, 1830 にキュウリイシ [属] の和名を当てているが、これは Herpolitha Eschscholtz, 1825 との誤認によるものと思われる (種の和名としてのキュウリイシは、Herpolitha limax (Esper, 1797) に対し上述の杉山 (1947) により与えられている)。白井・佐野 (1985) は P. talpina イシナマコを石垣島から報告するにあたり、属名 Polyphyllia の和名イシナマコ属の命名者を杉山として引用しているが、上述のように杉山は属の和名は示していないため、イシナマコ属は白井・佐野 (1985) による提唱と判断される。現在は、西平・Veron (1995) をはじめ 、イシナマコ属が一般的に使われている。

本web図鑑では Polyphyllia talpina (Lamarck, 1801) の和名をイシナマコからナマコイシに改称することを提唱している。これに合わせ、Polyphyllia Blainville, 1830 イシナマコ属のナマコイシ属への改称を提唱する。改称の理由についてはナマコイシのページを参照されたい。

改称和名提唱日:2024-10-15.

備考:Gittenberger et al. (2011: 126) によると、Polyphyllia ナマコイシ属、Ctenactis Verrill, 1864 トゲクサビライシ属、Herpolitha Eschscholtz, 1825 キュウリイシ属の3属は、分子系統学的な情報から、互いに非常に近縁な関係にあると推定されている。

引用文献:

de Blainville HM (1830) Zoophytes. In: Levrault FG (ed) Dictionnaire des Sciences naturelles. 60: 1-546. [BHL]

江口元起 (1975) 珊瑚と珊瑚礁. 郵政, 27: 54-57.

Gittenberger A, Reijnen BT, Hoeksema BW (2011) A molecularly based phylogeny reconstruction of mushroom corals (Scleractinia: Fungiidae) with taxonomic consequences and evolutionary implications for life history traits. Contrib Zool 80: 107-132 [ResearchGate]

Lesson RP (1831) Illustrations de zoologie ou recueil de figures d'animaux peintes d'apres nature, pls. 1-60. Bertrand, Paris. [BHL]

Milne Edwards H, Haime J (1849) Mémoire sur les Polypes appartenant à la famille des Oculinides, au groupe intermédiaire des Pseudastréides et à la famille des Fongides. Comptes rendus hebdomadaires des séances de l'Académie des sciences, Paris. 29: 67-73. [BHL]

西平守孝・Veron JEN (1995) 日本の造礁サンゴ類. 海游社, 東京.

杉山敏郎 (1947) 石珊瑚目. In: 内田清之助ら (編著) 日本動物図鑑改訂増補版. 北隆館, 東京, pp 1565-1586.

Wood EM (1983) Corals of the world, biology and field guide. T.F.H. Publications, Hardcover.

執筆者:立川浩之

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更新履歴:

2024-10-15 公開