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Acroporidae ミドリイシ科
Acropora ミドリイシ属

Acropora sp. HA
(Figs. 1-5)

サキナガクシハダミドリイシ 新称
(図1-5)

1 2 3 4 5

図1. Y163. Aタイプ (sp. HA). 種子島浦田湾. 2008-02-14.

図2-5. TOK49. Aタイプ (sp. HA). トカラ列島中之島, 水深 6 m. 2010-07-05.

図の標本採集・撮影は全て鈴木豪.

形態:群体はテーブル状。群体の中心から水平枝が長く放射状に延びて、時々融合する。水平枝から垂直に短い枝が密に分岐するが、他の隠蔽種に比べ垂直枝は長く、中軸サンゴ個体も伸びる傾向がみられる。

識別点:「形態」の項で述べたように、垂直枝が長く、中軸サンゴ個体も長いという点以外にも、放射サンゴ個体の開きが少なく、枝を覆っているように見える点が特徴的である。A. cytherea ハナバチミドリイシに似ているが、本種では放射サンゴ個体の先端の伸長は見られない。

分布と生態:クシハダミドリイシ種複合体の網羅的な分子系統解析では、地理的には、種子島とトカラ列島中之島でのみ検出できた。ほかの地域での生息状況は更なる検討が必要である。

新称和名:クシハダミドリイシ種複合体の中で、垂直枝が長く、中軸サンゴ個体も伸びる特徴に由来する。和名基準標本は、Y163 (図1) である。

和名提唱日:2023-11-12.

備考:Ladner & Palumbi (2012) は、太平洋全体の A. hyacinthus complex を対象とした STRUCTURE 解析 (12か所の分子マーカーを使用) により、A~Fの6種の隠蔽種の存在を報告している。Suzuki et al. (2016) では、日本周辺の集団を対象に、このうちミトコンドリア非翻訳領域、核の遺伝子および非翻訳領域の合計4か所の分子マーカーを用いて解析し、本種は Ladner & Palumbi (2012) の A. hyacinthus A と同じグループになることが推定された。

引用文献:

Ladner J, Palumbi S (2012) Extensive sympatry, cryptic diversity and introgression throughout the geographic distribution of two coral species complexes. Mol Ecol 21: 2224-38.

Suzuki G, Keshavmurthy S, Hayashibara T, Wallace CC, Shirayama Y, Chen CA, Fukami H (2016) Genetic evidence of peripheral isolation and low diversity in marginal populations of the Acropora hyacinthus complex. Coral Reefs 35: 1419-1432.

執筆者:鈴木豪

Citation:

 

更新履歴:

2023-11-12 公開

2024-11-10 図キャプションに標本採集の表記を追記