Acroporidae ミドリイシ科
Acropora ミドリイシ属
Acropora sp. HB
(Figs. 1, 2)
ミダレクシハダミドリイシ 新称
(図1, 2)
図1. B200. Bタイプ (sp. HB). 石垣島浦底湾, 水深 3 m. 2007-04-27.
図2. G27. Bタイプ (sp. HB). 石垣島浦底湾. 2006-05-11.
図の標本採集・撮影は全て鈴木豪.
形態:群体はテーブル状。群体の中心から水平枝が長く放射状に延びて、時々融合する。水平枝から垂直に短い枝が密に分岐するが、中軸サンゴ個体と放射サンゴ個体の配列が均等ではない。
識別点:典型的なものは、上からみると中軸サンゴ個体の配置が乱れたように見える。しかし、Acropora sp. HC ナガエダクシハダミドリイシも、同様の変異を持つことから、形態のみでの識別は容易ではない。
分布と生態:Suzuki et al. (2016) の解析では、一部地域 (石垣島) でのみ確認された。今後、他の地域での生息状況などを調査する必要がある。
新称和名:識別点で述べたように、中軸サンゴ個体の配置が真上からみると乱れたように見えることに由来する。和名基準標本は、G27 (図2) である。
和名提唱日:2023-11-12.
備考:Ladner & Palumbi (2012) は、太平洋全体の A. hyacinthus complex を対象とした STRUCTURE 解析 (12か所の分子マーカーを使用) により、A~F の6種の隠蔽種の存在を報告している。Suzuki
et al. (2016) では、日本周辺の集団を対象に、このうちミトコンドリア非翻訳領域、核の遺伝子および非翻訳領域の合計4か所の分子マーカーを用いて解析し、本種は Ladner & Palumbi (2012) の A. hyacinthus B と同じグループになることが推定された。担名タイプの写真を見る限りでは A. hyacinthus に近い。
引用文献:
Ladner J, Palumbi S (2012) Extensive sympatry, cryptic diversity and introgression throughout the geographic distribution of two coral species complexes. Mol Ecol 21: 2224-38.
Suzuki G, Keshavmurthy S, Hayashibara T, Wallace CC, Shirayama Y, Chen
CA, Fukami H (2016) Genetic evidence of peripheral isolation and low diversity
in marginal populations of the Acropora hyacinthus complex. Coral Reefs 35: 1419-1432.
執筆者:鈴木豪
Citation:
更新履歴:
2023-11-12 公開
2024-11-10 図キャプションに標本採集の表記を追記