Acroporidae ミドリイシ科
Acropora ミドリイシ属
Acropora sp. HC
(Figs. 1-9)
ナガエダクシハダミドリイシ 新称
(図1-9)
図1. LB31. 阿嘉島マジャノハマ. 2007-05-29.
図2. B186. 石垣島浦底湾, 水深 2 m. 2007-04-27.
図3. LB17. 阿嘉島. 2007-5-29.
図4-7. MIY22. 宮古島東平安名崎. 2010-8-21.
図8. Y159. 種子島浦田湾. 2008-2-14.
図9. TOK14. トカラ列島中之島. 2010-4-27.
図の標本採集・撮影は全て鈴木豪.
形態:群体はテーブル状。群体の中心から水平枝が長く放射状に延びて、時々融合する。水平枝から垂直に短い枝が密に分岐するが、わずかに垂直枝が長い傾向がみられる。
識別点:阿嘉島のマジャノハマでは、Acropora sp. HD1 タイラクシハダミドリイシと同所的にみられ、垂直枝の長さが異なるように見えた。ほかの地域ではあまり差はなく、種内変異も大きい。
分布と生態:これまで「クシハダミドリイシ」とされたもので、沖縄地方に最も多く生息すると思われる。
新称和名:同じく本図鑑で新称した A. sp. HD1 タイラクシハダミドリイシに比べ、垂直枝が長いことに由来する。和名基準標本は、LB31 (図1) である。
和名提唱日:2023-11-12.
備考:Ladner & Palumbi (2012) は、太平洋全体の A. hyacinthus complex を対象とした STRUCTURE 解析 (12か所の分子マーカーを使用) により、A~F の6種の隠蔽種の存在を報告している。Suzuki et al. (2016) では、日本周辺の集団を対象に、このうちミトコンドリア非翻訳領域、核の遺伝子および非翻訳領域の合計4か所の分子マーカーを用いて解析し、本種は
Ladner & Palumbi (2012) の A. hyacinthus C と同じグループになることが推定された。
引用文献:
Ladner J, Palumbi S (2012) Extensive sympatry, cryptic diversity and introgression throughout the geographic distribution of two coral species complexes. Mol Ecol 21: 2224-38.
Suzuki G, Keshavmurthy S, Hayashibara T, Wallace CC, Shirayama Y, Chen
CA, Fukami H (2016) Genetic evidence of peripheral isolation and low diversity
in marginal populations of the Acropora hyacinthus complex. Coral Reefs 35: 1419-1432.
執筆者:鈴木豪
Citation:
更新履歴:
2023-11-12 公開
2024-11-10 図キャプションに標本採集の表記を追記