Acroporidae ミドリイシ科
Acropora ミドリイシ属
Acropora sp. HD1
(Figs. 1-4)
タイラクシハダミドリイシ 新称
(図1-4)
図1. B194. 石垣島浦底湾, 水深 2 m. 2007-04-27.
図2. LB23. 阿嘉島マジャノハマ. 2007-05-30.
図3. R99. 石垣島浦底. 2006-03-04.
図4. LB47. 阿嘉島マジャノハマ. 2007-05-30.
図の標本採集・撮影は全て鈴木豪.
形態:群体はテーブル状。群体の中心から水平枝が長く放射状に延びて、時々融合する。水平枝から垂直に短い枝が密に分岐するが、垂直枝が Acropora sp. HC ナガエダクシハダミドリイシと比べるとあまり伸びない。
識別点:阿嘉島のマジャノハマでは、A. sp. HC ナガエダクシハダミドリイシと同所的にみられ、垂直枝の長さが短く揃っているように見えた。ほかの地域ではあまり差はなく、種内変異も大きい。
分布と生態:A. sp. HC ナガエダクシハダミドリイシと同様、琉球列島に広く分布すると思われる。
新称和名:同じく本図鑑で新称した A. sp. HC ナガエダクシハダミドリイシに比べ、垂直枝が短いことに由来する。和名基準標本は、LB23 (図2) である。
和名提唱日:2023-11-12.
備考:Ladner & Palumbi (2012) は、太平洋全体の A. hyacinthus complex を対象とした STRUCTURE 解析 (12か所の分子マーカーを使用) により、A~F の6種の隠蔽種の存在を報告している。Suzuki
et al. (2016) では、日本周辺の集団を対象に、このうちミトコンドリア非翻訳領域、核の遺伝子および非翻訳領域の合計4か所の分子マーカーを用いて解析し、本種は Ladner & Palumbi (2012) の A. hyacinthus D と同じグループになることが推定された。A. spicifera や A. tanegashimensis と遺伝的に同じDグループに含まれるため、今後、同種かどうかの検討が必要である。
引用文献:
Ladner J, Palumbi S (2012) Extensive sympatry, cryptic diversity and introgression throughout the geographic distribution of two coral species complexes. Mol Ecol 21: 2224-38.
Suzuki G, Keshavmurthy S, Hayashibara T, Wallace CC, Shirayama Y, Chen
CA, Fukami H (2016) Genetic evidence of peripheral isolation and low diversity
in marginal populations of the Acropora hyacinthus complex. Coral Reefs 35: 1419-1432.
執筆者:鈴木豪
Citation:
更新履歴:
2023-11-12 公開
2024-11-10 図キャプションに標本採集の表記を追記