Acroporidae ミドリイシ科
Acropora ミドリイシ属
Acropora sp. HD2
(Figs. 1-5)
ナンヨウクシハダミドリイシ 新称
(図1-5)
図1-2. AMM121. 奄美大島実久, 水深 4 m. 2016-10-06. 鈴木豪.
図3-5. AMM123. 奄美大島実久, 水深 4 m. 2016-10-06. 鈴木豪.
形態:群体はテーブル状。群体の中心から水平枝が長く放射状に延びて、時々融合する。水平枝から垂直に短い枝が密に分岐する。群体中央部では、水平枝が融合してプレート状になる。
識別点:他の隠蔽種に比べると、群体形がきれいなテーブル状にならず、凸凹が多い印象。温帯タイプに似るが、垂直枝の分枝がより多いことで区別できる。ミトコンドリアの分子系統解析では、同所的に見られる
Acropora papillare サンカクミドリイシと同じ配列を持つので、近縁な可能性が高い。
分布と生態:琉球列島全域に分布する。
新称和名:杉原ら (2015) において、クシハダミドリイシ種複合体は、主に和歌山から鹿児島の太平洋側沿岸 (いわゆる温帯) に優占する A. spicifera クシハダミドリイシと種子島以南に優占する A. hyacinthus ナンヨウミドリイシに整理された。しかし、ナンヨウミドリイシには、さらに複数種が含まれる可能性があるため、本稿では採用しなかった。また、A. spicifera についても、温帯タイプと種子島以南で集団が分かれる可能性があるため、形態的に A. spicifera に近く、種子島以南に生息する種について、A. sp. HD2 と整理し、新たにナンヨウクシハダミドリイシと称することを提案する。和名基準標本は、AMM121 (図1) である。
和名提唱日:2023-11-12.
備考:A. spicifera として同定されている種の可能性が高い。温帯タイプおよび A. sp. HD1 タイラクシハダミドリイシと同種かどうか、更なる検討が必要である。
引用文献:
杉原薫・野村恵一・横地洋之・下池和幸・梶原健次・鈴木豪・座安佑奈・出羽尚子・深見裕伸・北野裕子・松本尚・目﨑拓真・永田俊輔・立川浩之・木村匡
(2015) 日本の有藻性イシサンゴ類. 種子島編.国立環境研究所生物・生態系環境研究センター, つくば. [国立環境研究所]
執筆者:鈴木豪
Citation:
更新履歴:
2023-11-12 公開